本シリーズでは7回に渡って、事業アイデアの創出について手法や事例をご紹介いたします。
・新規事業創出について検討したいが、どこから始めればいいかわからない
・新規事業チーム内の共通認識を作りたい
といった方々のお役に立てますと幸いです。
本シリーズ・事業アイデアの創出に関する記事の一覧
アイディエーションを始める前に
チームでのアイディエーション、アイデア発想を始める前に、いくつかの準備が必要です。
まずは、前章で説明したようなアイデアの方向性、前提条件などをメンバーと合わせておく必要があります。これからチームで取り組むことに対し「目的」「手段」「期限」「予算」などを明文化しておきましょう。そのほか、アイデア発想に取り組む前に準備しておきたい3つのこととして「①プライマリーリサーチ」「②チームのマインドセットアップ」「③アイデア発想の環境」についてご紹介させていただきます。
アイディエーション前の準備①プライマリーリサーチ
アイディエーションの前に準備しておきたいこととして、まずはプライマリーリサーチをご紹介します。プライマリーリサーチは「初期調査」を意味し、これから発想するアイデアの種にしたり、視野を広げてくれるといった役割があります。
アイディアは「掛け合わせ」で生まれる性質があり、良質なアイデア創出のためには、良質なインプットが欠かせません。そのためゼロベースでのアイデア発想よりも、アイデア発想の材料を収集する意味での「プライマリーリサーチ」の実施を推奨しています。
プライマリーリサーチの際に実施しておきたいリサーチや分析としては、環境の変化を理解するための「PEST分析」、業界の成功事例や傾向、自社の事業領域の深掘りなどがあります。詳しくは後ほどご紹介させていただきます。
アイディエーション前の準備②チームのマインドセットアップ
次にご紹介するのは、チームのマインドセットアップです。チームでアイディエーションを行う際は、アイデアが生まれやすい雰囲気づくりも重要です。アイディエーションのマインドセットはチームで認識を合わせ、活発なアイデアや意見が出るよう、参加者全員の働きかけが重要です。
ここで紹介するのは一例ですが、アイディエーションは発散的活動になりますのでテーマを掲げて忠実に行うということ、アイデアにくだらないものはなく、自身のアイデアを卑下したり他者のアイデアを揶揄したり否定しないこと、など...アイディエーションのマインドセットはチームで認識をあわせ、活発なアイデアや意見が出るよう、ファシリテーターのみならず参加者の働きかけが重要であることを十分に共有しておきましょう。
アイディエーション前の準備③アイデアや意見を可視化する
チームでのアイディエーションの際、最も注意したいのは、オンライン・オフラインいずれの場合でも「視覚的に行う」という点です。
ホワイトボードや付箋を活用し「今何を話しているのか」を文字や図・絵を用いて表現することで、テーマに対して忠実にアイディエーションが実施できます。アイデアや意見を視覚的に残しておくことで、仲間のアイデアを展開・深掘りしたり、数分前のアイデアにジャンプすることが可能になります。
アイディエーションにはこうした「場」の準備も重要であることもチームの共通認識としてお持ちください。
アイディエーション
次回は「アイディエーション」についてご紹介させていただきます。
【参考書籍】
・秦充洋『事業開発一気通貫 』日経BP出版、2022年・北嶋貴郎『新規事業開発マネジメント』日本経済新聞出版、2021年
・前野隆司 『システム×デザイン思考で世界を変える 慶応SDM「イノベーションの作り方」 』 日経BP出版、2014年
・ロベルト・ベルガンティ 『デザイン・ドリブン・イノベーション 』クロスメディア・パブリッシング、2016年
・ロベルト・ベルガンティ 『突破するデザイン あふれるビジョンから最高のヒットをつくる 』日経BP出版、2017年
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