ゼロから始めて3ヶ月で!“動けるIR部門”のつくり方
- SAKI Tsujihara
- 5 日前
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更新日:3 日前

IPO後5年以内の企業の4割は、投資家とのコミュニケーションを決算資料と適時開示を行うのみで、専任IR・PRのチームを持っていないと言われています。
しかし、企業の成長に向けた期待値コントロールや、非財務情報の可視化が重視される今日、IR部門を持たずに情報発信を行わないことは大きな機会損失につながります。適切なI R・PRの活動は企業価値の向上に貢献し、成長に向けた後援となることは確かです。
本稿では、ILY,の「Design for IR」プログラムで実践している「動けるIR部門の立ち上げ」ステップを紹介します。
【0ヶ月目】準備フェーズ
IR部門を立ち上げる前の準備段階では、まず経営層の合意を得ることが重要です。投資家との関係構築が企業価値向上にどう貢献するかを明確にし、IR・PRの役割を明確に定義しましょう。現状の開示業務の流れを棚卸しし、年間スケジュールに合わせた戦略を検討します。
実践ポイント
経営層に対して、IR活動の投資対効果を具体的な数字で示す
現状の課題(開示遅延リスク、投資家からの評価の低さ)を明確化
内製すべき業務と外注可能な業務を区分け
【1ヶ月目】コア業務の標準化
最初の1か月は、IR業務の基盤となるコア業務の標準化に注力します。適時開示情報やイベントスケジュールを一元管理するカレンダーやスプレッドシートを作成し、関係者全員が常に最新の状態を確認できるようにします。また、決算説明資料やプレスリリースの作成プロセスを効率化するために、生成AIを活用したテンプレートを導入します。
現在では様々なAIツールを活用し、競合や近隣領域の企業の情報を収集・分析することも容易になりました。積極的に戦略策定や業務推進にAIを活用し、自社活動への反映や改善に繋げられるような業務設計を行う必要があるでしょう。
実践ポイント
適時開示カレンダーには、四半期決算、株主総会、決算発表など重要な日程を記載
決算資料作成の役割分担を明確化(財務数値:経理部、事業解説:事業部、編集:IR部門)
生成AIを使って過去の質問から想定Q&Aを自動生成
【2ヶ月目】チーム組成とKPI設定
2か月目には、IR部門の体制を整え、業務の分担を明確にします。小規模なチームでも効率的に機能するよう、各メンバーの役割と責任を定義します。IR活動の成果を測定するKPIを設定し、定期的に進捗をモニタリングする仕組みを作ります。
立ち上げ時は1〜2名の人員で十分で「情報収集及び他部署との連携」「情報作成及び承認機関との連携」と、機能を明確に分担できることが望ましいです。特にチームリーダーは、新規事業部や他社との提携、M&Aなど他部門が推進中のプロジェクトについていち早く状況をキャッチアップし、IRカレンダーに落とし込みながらIR部門を動かす必要があります。
IR・PR部門の持ちうるKPIは「発信数」「PVやインプレッション数」などが中心になりますが、準備フェーズで合意したアウトカム指標に向けて実施計画を詳細化することも本フェーズの重要な取り組みになります。
実践ポイント
IRリーダーは財務・経営戦略の知識が必要
アシスタントは資料作成や投資家対応のサポートを担当
広報連携担当はIR情報のSNS発信や広報活動との調整を行う
KPIは「アウトプット指標」と「アウトカム指標」の両方を設定
【3ヶ月目】拡張コンテンツとレビュー
3か月目には、基本的なIR活動に加えて、投資家とのコミュニケーションを深めるための拡張コンテンツの計画や準備を進めます。IRサイトを充実させ、決算情報を分かりやすく伝える工夫や、PR領域での発信コンテンツを検討します。

ILY,では、事実情報として発信できるIRに加え、会社全体のPRやブランディング等に関与するPR情報の発信も積極的に行っていくことを推奨しています。投資家とのコミュニケーション戦略に応じて適切な施策やコンテンツを計画することが重要です。
また、3ヶ月目にはIR活動の効果を測定・評価するためのレビュープロセスを確立します。
践ポイント:
IRサイトには投資家が知りたい情報(業績推移、経営戦略、成長ストーリー)を集約
決算ダイジェスト動画など、経営者が直接説明することで信頼性を高める工夫
投資家アンケートで満足度や改善点を定期的に収集し改善プロセスに組み込む
IR部門のためのツール選定
IR部門を効率的に運営するためには、適切なツールの選定も重要です。特に少人数のチームでは、自動化やテンプレート化によって業務効率を高めることが必須です。現在ではAIを活用しIR業務の効率化を図り、効果を最大化することが必須となっています。
下記のツールは導入コストが低く、使いやすさも高いため、IR部門立ち上げ初期の段階でも十分に活用できます。
カテゴリ | 無料〜低コスト例 |
ドキュメント | Google Workspace / Notion |
AIドラフト | ChatGPT / Claude |
資料デザイン | Figma / Canva |
動画編集 | Descript / Clipchamp |
メルマガ | Brevo / SendGrid |
実践ポイント:
ツールを連携させ作業の効率化を図る
部署内でのツールの使い方に関するマニュアルや手順書を整備しルール化
セキュリティに配慮したツール選定と運用ルールの策定
企業価値向上を実現する戦略的IR支援プログラム「Design for IR」
IR部門の立ち上げは、企業の成長と価値向上にとって重要な投資です。専任チームを持たなくても、効率的なプロセスとツールを活用することで、質の高いIR活動を実現できます。初期段階では基本的な業務の標準化に注力し、徐々に活動範囲を拡大していくアプローチが成功への近道です。
私たちILY,では、企業価値向上を実現する戦略的IR支援プログラムを提供しています。単なるIR資料の制作ではなく、PERを押し上げるためのナラティブ設計/投資家との関係性のデザイン/統合されたIRコミュニケーション戦略 / IR部門の立ち上げまで、一貫して支援しています。
IRナラティブ設計:投資家の期待を引き出すストーリーラインの構築
IR資料・統合報告書制作:決算説明・ESGなど非財務との整合性も重視
IRサイト・ブランドツールの最適化:対話の第一印象を高めるクリエイティブ設計
伴走型の改善支援:IRチームやCFOとの継続レビュー・改善プロセスを支援
IR活動にお悩みがある方、IR部門の立ち上げに課題をお持ちの企業さま、ぜひお気軽にご相談ください。