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【事業創出に向けたリサーチとアイデアの評価#02】事業アイデアを評価する

本シリーズでは2回に渡って、事業創出に向けたリサーチとアイデアの評価についてご紹介いたします。


・新規事業創出について検討したいが、どこから始めればいいかわからない

・新規事業チーム内の共通認識を作りたい

・事業創出にあたりどのようなリサーチを行えばいいかわからない

・事業アイデアをどのように評価すればいいかわからない


といった方々のお役に立てますと幸いです。


本シリーズ・事業創出に向けたリサーチとアイデアの評価に関する記事の一覧


アイデアを評価する項目

アイデアを多く出した後は評価によって絞り込んでいきます。ここで重要なのは「判断基準」です。アイデアを評価する判断基準は企業全体の戦略ごとに異なります。どのくらいのインパクトを狙うのか、戦略上どこを強化するのか...アイデアの絞り込みの前にチームや経営幹部を巻き込んで評価軸を策定する必要があります。下記に主な判断基準となる項目を6つご紹介します。 



①自社の事業ドメインであるかどうか:企業によっては事業領域に制限が設けられているケースがあります。不動産事業や金融事業、医療系事業は手がけない...などの方針が決まっている場合はその事業領域の推進は難しいです。ここでは「既存の事業ドメインに合致するか」という評価ではなく、事業展開の可能性があるかという視点で評価を行ってください。


②顧客を獲得できるか:事業を展開する上で最も重要な点です。どれだけイノベーティブであろうとも、立ち上げ期から成長期に向け顧客が獲得できなければ事業として成立しません。こちらは後続の動画「カスタマープロブレムフィット」「ソリューションプロブレムフィット」としてご説明いたします。 


③儲かるのか:「事業として利益が出るのかどうか」という点です。例えば、アメリカのスナップ社が提供していた「ゼンリー」という位置情報共有サービスは約4000万人のユーザーを抱えながら、2023年2月にサービス提供を終了しました。サービス終了の原因は事業収益性の低さということが公表されています。どれだけユーザー数を獲得しても、お金を払ってくれる顧客やスポンサーが想定できない場合は赤字体質の事業にならざるを得ないため、この点は評価項目の中でも重要であると言えます。 


④実現可能性はあるか:魅力的でインパクトの大きなアイデアであるほど、実現が大変であることは間違いありません。アイデアを絞っていく時の評価では、実現可能性についての優先順位は高くありません。しかし事業開発に際し、投資検討という点においては、評価しておく必要があると考えられます。


⑤強みを活かすことはできるか:アイデアを評価する際に、既存事業で培った強みやリソースを活用できるか?あるいはその強みやリソースを強化することができるか?という視点は重要です。しかしながらそうした判断基準を重視し過ぎると、既存事業に変わるインパクトを持つアイデアを評価・採用しづらくなるという弊害が起こります。この点は十分経営陣との意思合わせが必要です。 


⑥模倣性が低いか:事業を検討する際「他社に真似されないか」という、参入障壁の高さも1つの評価軸になると考えられます。この「参入障壁」としては技術開発力や知財、顧客基盤、ブランド力などの無形資産、インフラや設備投資などの有形資産が挙げられます。先に説明した「強みを活かせるか」の項目と同じく、模倣性という判断軸を重視し過ぎることで既存事業以上にインパクトのあるアイデアを評価・採用しづらくなるというデメリットも理解しておく必要があります。同様に経営陣との意思合わせが必要です。 


以上、アイデアの評価に関して6つの軸をご紹介させていただきました。繰り返しになりますがアイデアの絞り込みの前に、経営幹部を巻き込んで評価軸を策定しておく、あるいはアイデア創出の前にこうした判断軸を掲げておくなど、チームメンバーが自身のアイデアに固執することなくフラットに議論できるよう前提条件を整えておくことは、新規事業創出プロジェクトの推進に役に立ちます。


事業コンセプトの初期仮説を整理する


ここまで検討し、絞り込んできたアイデアを「事業コンセプト」の初期仮説として整理していきましょう。この時点でのアイデアはまだ抽象度が高く、チーム内でも事業のイメージや理解の認識がズレている可能性があります。それらを整理し明文化することで認識を合わせ、今後具体化していくフェーズで認識が分散しないよう、現段階でのコンセプトシートを作成しておきましょう。




この時点での事業コンセプトシートで整理したい項目は「誰の困りごとをどのように解決するか」それが「既存の・過去の手段よりもどのように優れているか」それによって「顧客はどのような価値を享受するのか」という点です。



こちらは事業コンセプトシートの参考例です。 こうして事業コンセプトを初期仮説として整理し、ここからリサーチや検証を重ねていくことで、顧客像や提供価値を具体化し、ビジネスモデルとともに事業構想を構築していきます。後続の記事では初期仮説以降の検証についてご紹介します。



さいごに


ここまで2回に渡り事業創出に向けたリサーチとアイデアの評価についてご紹介してきました。最後にお断りをしておくと、これらは新規事業を創出するにあたり知っておきたい基本的な概念となります。実際のプロジェクトではこうした基本的な知識のほか、さらに専門的な業界やビジネスの知識や経験が求められます。


私たちILY,は様々なデザインプロジェクトの支援を行っています。ぜひお困りごとがございましたらお気軽にご相談ください。


 

【参考書籍】

 ・北嶋貴郎『新規事業開発マネジメント』日本経済新聞出版、2021年

・秦充洋『事業開発一気通貫 』日経BP出版、2022年


・ボストンコンサルティンググループ『BCGが読む経営の論点2023』日本経済新聞出版、2022年

・ピーター・ディアマンディス 他『2023年すべてが「加速」する世界に備えよ』ニュースピックス出版、2020年

・ヘイミシュ・マクレイ『2050年の世界 見えない未来の考え方』日本経済新聞出版、2023年

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