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【ソリューションプロダクトフィットとプロダクトマーケットフィット#02】プロダクトマーケットフィットとは

本シリーズでは3回に渡って、新規事業創出における顧客開発の検証活動、ソリューションプロダクトフィットとプロダクトマーケットフィットに向けた取り組みについてご紹介いたします。


・新規事業創出について検討したいが、どこから始めればいいかわからない

・新規事業チーム内の共通認識を作りたい

・新規事業創出にあたる検証活動を理解したい


といった方々のお役に立てますと幸いです。


本シリーズ・新規事業創出におけるソリューションプロダクトフィットとプロダクトマーケットフィットに関する記事の一覧



プロダクトマーケットフィットとは

PMFとは「Product Market Fit」(プロダクトマーケットフィット)の頭文字を取った言葉で、「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」のことを指します。



顧客が満足する製品を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態であるPMFを達成することで、売上に結びつき、事業の成功へとつながっていきます。プロダクトマーケットフィットはここまで見てきた4つの検証の最後のポイントであり、この時点から製品やサービスのスケールを図っていきます。


以下の図のように企業がプロダクトマーケットフィットに達してから、人材の増強、マーケティングなどを強化することが良しとされています。キャズム曲線においては、顧客としてアーリーアダプターが参画し、アーリーマジョリティへのリーチを図るタイミングであると考えられます。



プロダクトマーケットフィットのよくある誤解


プロダクトマーケットフィットが重要なことは、かなり知られてきましたが、さまざまな解釈があり、わかりにくいのも事実です。ここではプロダクトマーケットフィットについてのよくある誤解をご紹介します。 



誤解①2番手は悪である 新規事業創出において、検討を進めていたサービスがすでに存在していたということはよくあります。後発として模倣したという非難を浴びることをリスクだと思われるかもしません。しかしながら、現実には最も早く市場に製品やサービスを送り出したイノベーターである先行企業が途中で頓挫し、重要なインサイトを捉えスピーディーにスケールした2番手が長期的な勝者となることはよくあることです。たとえば中古品取引のマーケットプレイスとしてメルカリが参入した際には、すでにヤフーが提供するヤフオクは存在していましたし、Facebook以前にも実名性SNSがあり、Amazon以前にもインターネット書店は存在していました。後発であることを恐れることなく、チームで捉えた顧客やマーケットのニーズに注力し、市場にフィットすることを意識し続けることが最も重要です。


誤解②マーケットフィットのために完成度の高いサービスやオペレーションが必要よくある誤解の2つめとしては、マーケットフィットのために「完成され充実したサービスや製品が必要である」や「完成品を量産できる体制が必要である」「カスタマーサポートのため十分な数のオペレーターが必要である」などといったものです。まず製品については機能していれば、特別に優れたものである必要はありません。以前の動画でご紹介したDropboxのビデオプロトタイプのようなものでも十分にマーケットフィットを検証することができます。また、生産やサポートについても同様で、マーケットフィットの時点でそうした環境を整えておく必要はありません。製品やサービス自体を、顧客が買いたいもの・市場が求めるものにしていくことのほうが、はるかに重要であると言えます。 


誤解③プロダクトマーケットフィットは1回でいいプロダクトマーケットフィット後も、市場や社会環境は常に変化しています。ライバル企業が予想外の素晴らしい機能を追加してくるかもしれませんし、業界外から代替製品が登場することもあります。そのため、プロダクトマーケットフィットのタイミングに達し、アーリーマジョリティやレイトマジョリティといったマジョリティ顧客が参入してきたとしても、常に市場に製品・サービスをフィットさせ続けていく必要があります。この段階においては初期ターゲット顧客、成長ターゲット顧客とペルソナが変化しているはずですので、常にペルソナ像をブラッシュアップし続ける必要があります。


また、近年プロダクト・ライフサイクルの高速化や短期化の傾向が見られ、マーケットフィット後の成長期から成熟期・衰退期に入るスピードが早くなっています。コロナ禍中に爆発的に広がった音声SNSであるクラブハウスは、成長期から成熟期を脅威的なスピードで駆け抜け、2回目3回目のマーケットフィットを行う前に一気に衰退期に入ることとなってしまいました。



こうしたことからも、マーケットフィットは1回のみでなく2回目3回目と繰り返し行い、常に顧客に対し製品やサービスの利用機会や魅力を訴求し続けていく必要があります。 プロダクトマーケットフィットについては、ここで挙げた3つ以外にも多くの誤解や不適切な理解があります。検証活動においては、目的を明確にすることが最も重要です。チームで、認識をあわせ、十分に協力しながら進行してください。


PMFの指標

では、製品が市場にフィットしているかどうかは、どのように見分けることができるのでしょうか。当然ながら検証活動ですので、感覚的に判断するものではありません。プロダクトマーケットフィットのためにいくつかの指標が活用されていますので、ここでご紹介させていただきます。しかしながら製品やサービスの性質によって適合ポイントが異なりますので、自社、製品・サービスに適した指標を見つけることが重要です。 



指標①ネットプロモータースコア

ネットプロモータースコアは、企業やブランド、製品やサービスに対する愛着や信頼といった顧客ロイヤリティーを数値化するための指標としてマーケティング活動で用いられることがあります。こうした指標をマーケットフィットのために用いることが可能です。調査対象や顧客に対し「製品やサービスをどの程度親しい人に勧めたいと思うか」を問い、0〜10点の11段階で回答を収集します。11段階を図のように、0点から6点までを批判者、7点8点を中立者、9点10点を推奨者の3つに分類し、回答者全体の推奨者の割合から批判者の割合を引いたものでスコアを数値化します。グローバル基準では、スコアが40点以上であれば「正しい軌道に乗っている」とされますが、日本企業においては国民性が影響してか回答が中央値に偏る傾向がありますので注意してください。そのためネットプロモータースコアを単独で活用するのではなく、ほかの指標と組み合わせて活用することが望ましいと言えます。 




指標②アンケート調査

アンケート調査はプロダクトマーケットフィットのためによく使われる指標です。ここで重要なのは「設問項目」「対象の母集団」「実施時期」です。まずは設問項目ですが、アンケート調査を実施する際にすでに展開している製品やサービスであれば「この製品やサービスが利用できなくなったらどう感じますか?」というものを加えてください。対象母集団はすでにサービスを利用しているイノベーターとすると良いでしょう。「とても残念に思う」という回答が40%以上を占めた場合は、新規事業創出における最大の課題である「顧客にとってなくてはならない製品の開発」をクリアできたと考えることができます。こうしたアンケートの実施時期は、製品やサービスを利用し始めてすぐよりも、顧客の生活や日々の行動に製品やサービスが馴染んできたこと・繰り返し使用されていることが確認できたタイミングが好ましいです。




指標③顧客定着率

プロダクトマーケットフィットの指標として、顧客定着率は最も確度が高く重要な評価指標となります。製品やサービスの利用頻度やアクセス数など、ヒアリングやアンケート調査で取得できない、嘘偽りのない顧客の評価であると考えられるためです。解約が容易なSaaS(Software as a Service)ビジネスの場合、高い定着率は製品の市場適合性を示す優れた指標となります。一般に、解約率が20%未満、つまり定着率が80%以上であれば、定期的に製品を使用することで支払いを行いたいと考えている強固な顧客基盤を持っていることになります。 




指標④SaaSの40の法則

製品が市場に投入されて、市場に適合しているかどうかを判断するためには「売上高の成長」と「利益」が重要な要素になります。この2つのレバーを組み合わせる指標が「SaaSの40の法則」です。「40の法則」では、成長率と利益率の合計が40%以上であることがプロダクトマーケットフィットの目安になっています。これは、売上高が伸びていれば営業利益率が低くても成長が進んでいるとみなす考え方です。SaaS企業のように損益分岐点がかなり先にあり赤字先行になるビジネスモデルの企業の指標として重要であり、米国では投資家が企業へ投資を検討する際の一つの基準となっているものです。 



ここで紹介したものはプロダクトマーケットフィットに関するいくつかの指標です。そのほかにもさまざまな指標が考えられますので、ぜひ多角的に検討と検証を行ってください。 



次回:マーケティングとブレイクスルー

次回は「マーケティングとブレイクスルー」についてご紹介させていただきます。


 

【参考書籍】

・秦充洋『事業開発一気通貫 』日経BP出版、2022年

・北嶋貴郎『新規事業開発マネジメント』日本経済新聞出版、2021年

・廣田章光 『デザイン思考 マインドセット+スキルセット』日本経済新聞出版、2022年

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