top of page
執筆者の写真SAKI Tsujihara

新規事業開発におけるデザインリサーチの役割とその手法



hello, 辻原です。


今日は新規事業開発において活用できるいくつかのデザインリサーチ手法をご紹介いたします。社内の新規事業アイデアがなかなか出ない、アイデアは出るけどあまり筋が良くない...などでお悩みの企業の新規事業やプロダクトマネジメントご担当の方のヒントになれば幸いです。


デザインリサーチとは?

デザインリサーチとは、欧米の研究機関や、デザインコンサルティング会社によって展開されている人間中心設計や、デザインシンキングに用いられる調査・分析手法の総称です。デザインリサーチにおいては様々なデータや情報を収集し「定量」「定性」両方の視点で分析を行います。まだ言語化されていない未来のインサイトや価値観の傾向、課題の発見など、様々な問いや仮説を発見することをその成果目的としています。



リサーチの種類

一般的にリサーチは目的に応じて下記の3種類に分類することができます。

①基礎調査 / Foundational Research

②生成的調査 / Generative Research

③検証調査 / Evaluating Research

それぞれの目的と役割、その手法を細かく見ていきましょう。


①基礎調査 / Foundational Research

基礎調査の役割は「わからないことを明らかにする」「テーマを発見する」ことです。新規事業開発においてはマーケットリサーチや、セオリーリサーチなどが該当し、一般的にはデスクリサーチによって実施されます。また、基礎調査で重視されるのは「定量的」情報であり、市場や社会の傾向を掴むために用いられ、ビジネスの着想を得たりビジネスで解決すべき課題を発見するために行います。


【用いられる手法】

  • マーケットリサーチ : 特定マーケットの成長率や成長ドライバー

  • グローバルリサーチ : 類似マーケットの海外における成長とその推移・予測

  • セオリーリサーチ : マーケットやインサイトの傾向関する論文や文献


②生成的調査 / Generative Research

一般的に「デザインリサーチ」と呼ばれる手法が指すのは生成調査のことであるケースが多いです。生成調査では「人々の言動からインスピレーションを得る」ことを目的とし、ユーザーインタビューや観察、フィールドワークなどが主な手法として用いられます。生成的調査で重視するのは「定性的」情報であり、一人のユーザーの課題を掘り下げその原因をさぐったり集団的傾向を見出すことを重視します。


【用いられる手法】

  • ユーザーインタビュー:特定の事象についてのディープインサイトを掘り下げる

  • ユーザー観察:特定の活動や行動を指示し、どのように実施されるかを観察する

  • フィールドリサーチ:特定の施設や地域においてユーザーがどのような活動をしているのか、場所に特有の課題や傾向があるかを実施で発見する

  • グループインタビュー:特定の傾向を持つ人たちを集めグループでのインタビューを実施する、参加者同士の意見の創発を狙う

  • ワークシミュレーション:ルーチンを持つ特定の業務や活動を実際に行い、観察することで課題やテーマを発見する


③検証調査 / Evaluating Research

仮説やデザインが正しいか、条件が揃っているか、リスクはないかなどを洗い出すことが検証調査の目的です。事業開発にいおいては競合調査やリスク分析、環境要因の調査などがここにあたります。また、サービス開発においてはプロトタイプ検証やユーザーテストなどが該当する場合もあります。検証調査では「定量」「定性」両方の情報をフィルタリングする必要があり、ケースによって重視する情報は異なります。


【用いられる手法】

  • リーガルリサーチ:商標や特許などの他者権利に抵触していないか

  • マーケットリーガルリサーチ:規制緩和や緊縮などマーケットに変化を及ぼす法的変更が予定されていないか

  • コンペティターリサーチ:類似事業調査によって、事業展開上のボトルネックを検証する

  • ニーズ(インサイト)リサーチ:事業の核となるニーズが実際に存在しているかを検証する

  • ユーザーテスト:プロトタイプやMVPによって検証を行う


リサーチの「デザイン」の重要性

ここまでリサーチの役割や手法についてご紹介しましたが、新規事業開発におけるデザインリサーチの役割は大きく分けると下記2つであると言うことができます。

1.可能性を広げること=発散

2.可能性を狭めること=収束

これらは事業策定において意思決定の手助けになるものですが「どの段階でどんな情報を扱うか」は非常に重要であり、リサーチ自体にもデザインが必要であることは十分に注意したい点です。


今日の事業開発においては、国内外の市場環境や傾向の考慮のみならず、人々のインサイトや言語やデータになっていない情報や、社会環境やソーシャルイシューとの関係性やバランスなど、扱う情報が多岐におよび複雑でデリケートです。


デザインリサーチは事業を取り巻く環境を分析し設計する意思決定の手助けになります。ぜひ事業開発のプロセスに、適切なデザインリサーチを取り入れていただけると嬉しいです。


Thank you! We love you.




Kommentare


Yellow

About us

私たちは事業環境を取り巻く複雑な課題を解決し、企業や事業の成長を支援・投資を行うデザインコンサルティングファームです。

Design for IPO

IPO(株式公開)に向けたブランディングとデザインの戦略実行を全面的に支援します。

bottom of page