ブランドを「経営に活かす」とはどういうことか?



hello, 辻原です。


私たちILY,の提供するデザインソリューションの一つに「コーポレートブランディング」がありますが、コーポレートブランディングとは、法人格のアイデンティティ(=コーポレートアイデンティティ/CI)を確立し伝達していく働きかけに他なりません。


ではそのブランドと経営をどのように接続させていけばよいのでしょう?

「ブランドを経営に活かす」とはどのように成しうるのでしょうか?


今回は私たちが複数のプロジェクトを経て獲得したナレッジを整理し、シェアしたいと思います。



ブランディングの位置付け

一般的にコーポレートブランディングとは、企業文化を構築し特性や独自性を統一されたイメージやデザイン、わかりやすいメッセージで発信し、社会と共有することで企業の存在価値を高めていくものです。ここで注意したいのは「ブランドを策定する」だけで終わりではなく、継続して伝える働きかけ・機能する仕組みづくりをしていく必要があるということです。


ブランディングはよく「PRやマーケティング・広報との活動とどう違うの?」と問われます。この問いに対して私たちは「ブランディング自体の目的によって異なる場合もあれば、同じ活動を指す場合もある」という回答をしています。


というのも、どの部門や部署で扱うかによって活動の方針は大きく変わり、会社の位置付けとしてPRの下に属するのか・マーケティングの一部として扱うのかによって重視する内容や活動、KGI-KPIが全く異なるからです。


まれに「デザインはよくわからない」と敬遠される経営者もいらっしゃいますが、ブランディングの大半は感性的判断よりも理性的判断を要するものです。私たちは「経営戦略・経営リソース管理の一部」としてCEO直下で取り扱うことを勧めています。



ブランディングは本当に企業の価値を高めるのか?

さらに、私たちがプロジェクトの中で多く遭遇する問いは「コーポレートブランディングは本当に企業の価値を高めるのか?」のいうものです。この問いに対し、私たちILY,としては「YES」という回答をしています。ブランド自体は会社の設備などのようにモノとして扱うことのできない無形のものでありながら、会社の価値を高めるための重要な役割を担っています。


近年注目されているのは「無形資産としてのブランド」や、それに準じた人材育成および知財形成による差別化・競争力獲得です。2020年のジョナサン・ハスケルの著書「無形資産が経済を支配する」では、これまで計測できなかった無形資産を活用し、いかに競争力と経済力を獲得するかが論じられています。

私たちILY,では事業収益性を高める取り組みや投資効率を最適化する取り組みなどと並行し、ブランディングを会社の価値を高める手法の1つとして位置付け、経営の一環として取り入れていただくことを推奨しています。



コーポレートアイデンティティ=CIを構成する4つの要素

しかしながらこれまで私たちが支援してきたプロジェクトの経験においては、多くの日本企業のCIが「マインドアイデンティティ」「ビジュアルアイデンティティ」の策定に留まっているケースが多いことがわかっています。しかしながらブランドと経営を接続するためには「ビヘイビアアイデンティティ」および「ドメインアイデンティティ」の策定が重要です。


つまり、経営と連動するコーポレートアイデンティティを構成する要素は下記の4つになります。

  • マインドアイデンティティ / Mind Identity

  • ドメインアイデンティティ / Domain Identity

  • ビヘイビアアイデンティティ / Behaviour Identity

  • ビジュアルアイデンティティ / Visual Identity

日本でよく用いられる表現で言えば「心=Mind」「技=Behaviour」「体=Visual」「智=Domain」のように表現できるかもしれません。ILY,ではこれらが一貫し強化しあっていることがよいコーポレートアイデンティティのデザインであるとしています。


ではそれぞれをどのように策定し、マネジメントにおいて活用しうるのかを詳しく見ていきましょう。



①マインドアイデンティティ / Mind Identity

マインドアイデンティティは一般的にフィロソフィーやパーパス、VISION・MISSION・VALUEによって構成されますフィロソフィーやパーパスは近年提唱される概念ですが、マインドアイデンティティの策定においてはこれら全てを網羅する必要はないと私たちは考えています。


MIの最低限の要素はVISION・MISSION・VALUEであり、フィロソフィーやパーパスは10年〜20年といった長期的な視点を獲得するためであったり、瞬発力や結束力を必要とする企業やチームに対しては効果を発揮しやすいため策定を勧めています。


マインドアイデンティティの策定において最も重要なのはフィロソフィーやパーパス、VISION・MISSION・VALUEを「自社では何のために策定しているのか・これらは何なのか」をきちんと定義することです。というのもマインドアイデンティティ策定の重要性は多くの書籍や文献・本記事のように様々なところで提唱されており、各所でそれぞれの定義が異なっています。


たとえばVISONは「有意義な目的」「将来のあるべき姿」「実現したい未来」...など少し調べただけでも様々な表現がされていることがわかります。マインドアイデンティティの策定の背骨は各用語の自社における定義化にあると言っても過言ではありません。



②ドメインアイデンティティ / Domain Identity

ドメインアイデンティティは字義のごとく「ビジネスドメイン=企業が定めた自社の活動範囲や競争領域」における同一性です。DIは最上位概念である「企業ドメイン」、その下位構造としての「事業ドメイン」が存在します。


事業ドメインの定義条件としては下記をあげることができます。

1.マインドアイデンティティに準じていること

2.適切な拡張性があること

3.自社の強みや既存リソースを活用できること

4.事業戦略にアラインしていること


多くの企業で社内ビジネスコンテスト・ピッチや新規事業企画提案機会などを導入していますが、こういった取り組みの中で「自社でやるべきでない事業の提案」が生まれてくる背景には、このドメインアイデンティティの策定および浸透課題があるケースが多いです。ドメインアイデンティティ策定は企業におけるイノベーション・マネジメントの一つであると言っても過言ではありません。


ドメインアイデンティティを定義することの経営上のメリットは下記の通りです。

①意思決定の手助けになる ②経営リソースの活用や投資判断が明瞭になる ③ビジョンの具体化と組織の一体化 ④組織内への戦略浸透と共通認識醸成



③ビヘイビアアイデンティティ / Behaviour Identity

ビヘイビアアイデンティティではMIで規定した「VALUE」を生み出すだめの価値判断や行動を策定します。多くの企業において成長のキードライバーは「事業開発」と「人材開発」であり、それらの活動において企業全体で一貫した判断や行動をすることがBIの目的です。


●事業開発におけるBI活用 事業開発における判断基準を策定します。ユーザーファースト、カイゼン、アジャイル、チームワークの尊重、プロフェッショナリティの活用...などなど事業開発において優先すべき事項を盛り込みます。ドメインアイデンティティと同じく「会社全体」と「事業ごと」に策定することを推奨しています。


●人材開発におけるBI活用 採用基準や育成方針などもBIを基準に策定することを推奨します。採用時の判断においてポータブルスキルやテクニカルスキルをどの程度重要視するのか、ジョブクラフト育成はどのレベルまでを目指すのか...などを策定し「求める価値」とその「人材条件」から導き出された行動指針を整理します。



④ビジュアルアイデンティティ / Visual Identity

ビジュアルアイデンティティについては多くの文献や資料が存在しているので、ここでは省かせていただきます。



経営に活用しうるブランド・CIの策定を

冒頭でもお伝えした通り、コーポレートブランディングとは、法人格のアイデンティティ(=コーポレートアイデンティティ/CI)を確立し伝達していく働きかけに他なりません。「ブランドを策定して終わり」ではなく、継続して伝える働きかけ・機能する仕組みづくりをしていく必要があります。


そのため「経営に活用する」という視点でCIを策定することがコーポレートブランディングにおいて最重要事項であり、形だけのガイドラインではなく、日々現場で手引きとなり価値を高めるようなCI策定を目指していただければ幸いです。

Thank you! We love you.

Yellow

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