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【プロジェクトデザイン論#01】プロジェクトデザインとは何か?

本シリーズでは4回に渡って、プロジェクトデザインについてお伝えしていきます。


新規事業や既存事業の高度化などでプロジェクトをスタートされる場合、やみくもにプロジェクトを始めても、うまく行かない場合がほとんどです。プロジェクトを始める前に、プロジェクトとプロジェクトデザインの全体像を理解しましょう。


プロジェクトとは言うまでもなく、特定の目的を達成するために計画された期限がある活動のことです。新しい事業を興すためのプロジェクト、今までのビジネスをもとに新たな領域を探すためのプロジェクトなど、さまざまなケースがあります。


・プロジェクト推進力を高めたい

・プロジェクトを推進できる人材を育成したい


といった方々のお役に立てますと幸いです。



プロジェクトとはなにか


私たちの業務の多くはプロジェクト型で進行されています。新規事業創出プロジェクト、ユーザーエクスペリエンス改善プロジェクト...一人が複数のプロジェクトに参加し業務を推進するケースも少なくありません。このように普段の仕事でも馴染み深い「プロジェクト」ですが、その定義は次のように説明することができます。


「プロジェクトとは、今ある状態からあるべき状態にするために行う、スタートからゴールまで続く複数の業務」であるということです。あるべき状態というゴールが存在している、ということが定常業務との違いであると考えられます。


では、プロジェクトは定常業務とどのような違いがあるでしょうか。プロジェクトと定常業務の違いは次のように表現できます。




業務の性質として、プロジェクトには独自性が求められる反面、定常業務には反復性が求められます。また、プロジェクトはゴールまでの期限が定められ有限であるのに反して、定常業務で求められるのは継続性です。プロジェクトは、その目的自体が事業環境などの変化に対応するものですが、定常業務の目的は複雑さに対応することに設定されています。


そのほかプロジェクトは定常業務と比べ、プロジェクト単位で参加者がアサインされるため人材は流動的であったり、決まった手順はなく都度策定していくものでるなどの特徴を持っています。特に注意したいのは、プロジェクトは定常業務に比べ不確実性が高く、内外の環境変化に注意しなければならないという観点です。


この観点は、現在の多くの業務がプロジェクト化していることにも関連しており、社会の変化スピードが早く不確実性が高まっていることが背景にあります。プロジェクト型の働き方は今後より主流になると考えられています。


プロジェクトリーダーの取り組み


プロジェクトリーダーはプロジェクトの遂行やゴールの達成に責任を持つ人を指します。プロジェクトリーダーの役割は、大きく「プロジェクトデザイン」「プロジェクトマネジメント」「プロジェクトファシリテーション」の3つに分類することができます。




プロジェクトデザインでは、ゴールに向かうプロセスなどを設計します。プロジェクトの目的を設定し、要求を元に要件定義を行い、定められた予算や期日を分配しながらゴールを達成しうるプロセスを設計します。


プロジェクトマネジメントでは、策定したプロセスに沿って進んでいるか、予算やスケジュールの消化は計画通りか、品質はクリアしているか、アサインしたメンバーが適切にパフォーマンスしているか、などをマネジメントしていきます。現在ではさまざまなデジタルツールがあり、カンバン形式でタスクを管理するtrello、タスク・プロジェクト管理ツールとしてはBacklogやAsanaなども有名です。プロジェクトマネジメントではこうしたツールを活用し、プロジェクトの進捗を可視化しチームと共有することをお勧めします。


プロジェクトファシリテーションでは、プロジェクトを円滑に進めるためのコミュニケーション、会議・ミーティングを推進する役割を指します。計画通りにプロジェクトを進行するためにチームメンバーの協力を引き出します。ファシリテーションの概要、会議やミーティングのファシリテーションについては別の機会にご紹介させていただきます。



プロジェクトデザインとは何か


では、プロジェクトデザインとはどのような取り組みでしょうか。


わかりやすくその概念をご理解いただくために、ゴルフをモチーフにご紹介させていただきます。ゴルフは、スタート地点からボールを打ち旗の下の「ホール」に自分のボールを入れることを目標とした競技です。他の参加者よりも少ない打数で完了できることを目指し、そのために最適なルート選択、狙いを定めた打球コントロールが重要です。競技のゴールは、ホールに自分のボールを入れることですが、それを難しくするのは「バンカー」と呼ばれる砂地のくぼみや、池、林などコースに設けられたさまざまな障害物や制限です。プレイヤーは、よいスコアを出すためコースの状況を把握し、日光や風などの外部要因を考慮しながら、適切なルートを選択する必要があります。





こうしたゴルフの考え方は、プロジェクトデザインとよく似ています。カップインをプロジェクトゴールとして見立てると、コースの中でとりうるルートが無数に存在する中、内外の環境要因を考慮し適切なプロセスを設計する取り組みは、まさにプロジェクトデザイン的であるといえます。



プロジェクトをデザインするための視点


次回は「プロジェクトデザインの観点」についてご紹介させていただきます。



 

【参考書籍】 ・中鉢慎『外資系コンサルが教える難題を解決する12ステップ プロジェクトリーダーの教科書』かんき出版

・グロービズ『ファシリテーションの教科書: 組織を活性化させるコミュニケーションとリーダーシップ』東洋経済新報社

・飯野謙次『仕事が速いのにミスしない人は、何をしているのか?』文響社

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