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執筆者の写真SAKI Tsujihara

マネージングリーダーの育成に向けた、コーポレートブランディング&文化風土育成について


Hello, 辻原です。 今回は、リーダーシップとマネジメント、ブランディングの関係性を整理していきたいと思います。


  • ご自身のリーダシップやマネジメントのあり方についてヒントが欲しい

  • リーダーシップやマネジメント、人材教育に関するヒントを得たい

  • コーポレートブランディングと人材育成を地続きに考えたい


といった方々のお役に立つ情報になりましたら幸いです。



ドラッカーによる「リーダーシップ」


そもそも、「リーダーシップ」という言葉にどのような印象を持っていますか?

世界的なリーダーとしてはスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、日本では稲盛和夫氏などの名前が上がりやすく「強力なカリスマ性でメンバーを牽引していく能力を持った人」というイメージが強い言葉ですが、それだけがリーダーシップではありません。そもそもリーダーシップとはどのようなものでしょうか。少し立ち戻って考えてみましょう。


リーダーシップは和製英語として用いられますが、一般的には「指導力」「統率力」を意味する言葉です。リーダーシップには様々な定義があり、「目標を達成するため、チームメンバーに行動を促すことができる能力」「魅力的な目標を掲げ、それを実現するための体制を構築し、メンバーの意欲を高め、課題を解決していく能力」「集団の指導者として、所属するメンバーに対し発揮される影響力」などが挙げられます。


経営学の権威であるピーター・ドラッカーは、リーダーシップを誰でも身につけることができる能力であるとし、著書において、リーダーシップの条件として次の3をあげています。


  1. リーダーシップを「仕事」とみること

  2. リーダーシップを「責任」とみること

  3. 信頼によって付き従う者がいること


それぞれを詳しく見ていきましょう。


まず、「リーダーシップを「仕事」とみること」です。ドラッガーは著書の中で、リーダーシップに必要な第一の要素を「仕事とみること」であると定義し、リダーシップは資質や才能ではなく「仕事」であると説明しています。組織の方向性や、ゴール達成のために優先順位や基準を定め、それらを維持・管理する者こそリーダーであるという定義です。


つぎに「リーダーシップを「責任」とみること」です。リーダーシップは地位や特権など獲得・付与される要素ではなく、本人の意思としての「責任」や仕事としての「責務」であるとも定義づけています。「組織的活動におけるリーダーシップの本質は責任にある」という彼の言葉は、リーダーは部下の行動を保証し、支援する存在でなければならないということを意味しています。リーダーが責任を取ることで部下を激励し、前進させ、部下自身が自らの誇りとする状態を実現させることで、自律的に自らの頭で考え判断し活動できるようになる、そのための支援と支援に対する責任であるとしています。


そして「信頼によって付き従う者がいること」です。決して強制的な追従ではなく「信頼によりメンバーがついてくる人間がリーダー」であるとドラッガーは定義しています。つまり、信頼こそがリーダーシップの基本であり、マネジメントの前提条件であるということです。さらに著書の中で「信頼の源泉は一貫性」であるとも説明されていますが、ここでの一貫性とはビジョンやパーパスに対するものであり、手法や短期的な方針を示すものでないことを注意してください。



さまざまなリーダーシップ理論

リーダーシップ理論は先に挙げたドラッガーが提唱したもの以外にも様々なものがあります。代表的なものと、その提唱時期は下記のようになります。

表のように、時代によって様々なリーダーシップ理論が提唱されてきましたが、これらは大きく4つに分類することができます。リーダーシップ理論については現代でも様々な書籍が発行されており、言説も様々です。のうちどれが優れているかという議論はあまり意味のあるものではなく、それぞれの理論がどのような文脈で生まれ、どのようなケースに用いられているのか、という点で参考にしていくことが望ましいと考えています。


まずは1940年代まで主流であり、最も古典的な理論である「特性理論」です。リーダーシップを先天的な能力であると考え、優れたリーダーに共通する特徴を、個人の資質や特性に見出そうとした理論です。特性理論の起源は大変古く、古代ギリシア時代の哲学者プラトンにまで遡ることができ、中国の思想家である孫子から19世紀の哲学者トーマス・カーライルまで長く提唱されてきた理論です。リーダーや英雄となるべき人物のパーソナリティ研究に重きが置かれた時代の理論になります。


つぎに発展したのは「行動理論」です。優れたリーダーと凡庸なリーダーを比較し、優秀なリーダーの行動の類型化を試みたのが行動理論です。行動理論では「優れたリーダーには共通する行動がある」という仮説のもと、行動原則を明らかにすることで、優れたリーダーを育成する目的で研究されてきました。特性論とは逆に、「リーダーとは作られるものである」という前提の考え方で、リーダーとそうでないものの行動の違いに着目した理論です。


1960〜1980年代に展開された理論は「条件適合理論」です。優れたリーダーシップを発揮するリーダーは、特定の類型化・体系化された行動様式を持つわけでなく、そのスタイルを状況に応じて使い分けているとする理論です。これまでの研究ではリーダーのみ着目していたのに対し、条件適合理論では取り巻くビジネス環境や部下の能力までを対象とし、行動理論を一般化するために生まれたものです。主なものに「コンティンジェンシー理論」「パス・ゴール理論」「SL理論」が挙げられますが、これらは現在でも多く活用されるリーダーシップフレームワークです。


そして1980年代〜現代にかけて展開されている「コンセプト理論」です。条件適合理論をさらに発展させ、さまざまな環境でのリーダーシップの取り方を研究したものです。条件適合理論において展開された「コンティンジェンシー理論」「パス・ゴール理論」「SL理論」などによりリーダーシップの多様性が認められるようになった背景から、「さまざまなシチュエーションにおいてどのようなリーダーシップを発揮し、具体的にはどのように解決するか」の議論を目的として提唱されました。現代ではこのコンセプト理論が主流で、下記のような5つのコンセプトが用いられています。

繰り返しになりますが、これらは「どれが優れている」ではなく、リーダー自身の特性やチームの状況、ミッションに応じて使い分けられるべきものです。それぞれの理論の文脈や特徴を理解しておくことが重要です。



ドラッカーによる「マネジメント」と「インテグリティ」

比較しやすいよう、同じくドラッカーによる「マネジメント」の定義をみていきましょう。これらは「マネジメント 基本と原則」からの引用となります。著書の中で、マネジメントに必要な能力として5つの定義がされています。

  1. 目標設定能力

  2. 組織化する能力

  3. コミュニケーションの能力

  4. 評価を測定する能力

  5. 問題を解決する能力

先に紹介したリーダーとして求められる能力が「意思」によるものであるのに比べ、マネジメントに必要な能力は明確な「技術」であるように思われます。これは興味深い定義であると感じます。


また、ドラッカーはあらゆる著書で「真摯さ/インテグリティ」を重視しており、「意思」や「能力」といった後天的または場合により獲得できるものと違い、インテグリティは後天的に身につけづらいものであると説明しています。


さらに「インテグリティ」自体の特性は定義がしづらいものでありながら、「インテグリティが欠如した人」の特徴としては下記が挙げられています。


これらがリーダーやマネジャーの「非条件」とすると、そこからドラッカーの理想とする上司像が浮かびあがって来るように感じられます。つまり、インテグリティをもった人とは、自らに向けても・他者に向けても誠実であり、言動が一致し、向上心のある人」と解釈できるのではないでしょうか。これこそがリーダーとマネジャーに共有して求められる資質なのです。



マネージングリーダーとインテグリティ

皆さんの中には「リーダーとマネジャーは別のもの」とお考えの方もいらっしゃることと思います。たとえばリーダーとマネジャーの違いとしてよくある説明は次のようなものです。

しかしながら多くの企業で「リーダー職」と「マネジャー職」は分割されていませんし、多くの管理職・リーダーやマネジャー位の方々は、時にリーダーであり時にマネジャーであることを求められるため明確に分割することは困難です。特に新規事業創出プロジェクトのような新規性・不確実性が高い場合はリーダーとマネジャーの視点を融合させなければ推進が難しい場面が多いのではないでしょうか。事実、多くの企業管理職は「マネージングリーダー」としての役割を果たしているはずです。


ここまで見てきたドラッカーの視点を整理すると、リーダーシップやマネジメント・マネジメントリーダーに求められるの能力は次のように説明ができます。


マネージングリーダーには、マネジャーとしてプロジェクトにおける成果の分析やメンバーの管理を行いながら、リーダーとして目指すビジョンや目的を提示し、その目標・目的に向かって現実に立脚した戦略立案とプロジェクト推進を行うことが求められます。リーダーとマネジャーの両方の性質を備える、と額面通りに受け取るのは簡単ですが、その中核に「インテグリティ」があることに注意する必要があります。これは「リーダー・マネジャーとして役割を果たそう」とするよりも前に、まず求められるのはインテグリティであるということです。



インテグリティを備えたマネージングリーダーへの成長・育成に向けて

しかしながらリーダーやマネジャーの必須条件である「インテグリティは後天的に獲得しづらい」という定義においてはドラッカーの提唱する理論は特性的であり、現代においては不向きであるように感じます。では、そのように私たちはリーダーやマネジャーを定め、信頼し、さらに次世代の育成に繋げることができるでしょうか?


ここからは私たちがこれまでのプロジェクトを通じて得たナレッジにおいては、下記のようにコーポレートブランディングと接続することで、成長の支援や育成が可能であると考えています。

個人のインテグリティが後天的に獲得しづらい&定義しづらい反面、組織という限られた環境で求められるインテグリティは定義が可能であると考えられます。そのため、私たちはこうした課題において、まずは組織でのインテグリティを定義し、リーダーやマネジャーはそうした振る舞いが求められることについて認知を広げ、会社の文化やDNAに変えて行く働きかけとして上記のようにコーポレートブランディングや文化風土の改革方針・醸成への組み込むことをお勧めしています。


今後コーポレートブランディングや育成・研修に向けて施策をご検討の方の参考になりましたら幸いです。


[参考書籍一覧]




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