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これからの経営の重点項目?企業は「パーパス経営」と「サステナビリティ経営」にどのように取り組むべきか



Hello, 辻原です。

今回はパーパス経営とサステナビリティ経営の関係性について、私たちILY,の実践を通じたナレッジを整理していきたいと考えています。

  • ブランディングの観点で気になっているが、どのように自社に導入すべきか迷っている

  • パーパスやサステナビリティなど、新たな概念が多く理解しきれていない

  • それぞれの概念は理解しているが、どう関連するか理解できていない

  • 自社に導入するための適切なロジックを得たい

  • それぞれ必要性は理解しているものの、新たな施策導入などで現場が混乱するのを避けたい

といった課題を抱える方のお役に立てますと幸いです。



パーパス経営とは何か?

まず「パーパス経営」、2018年ごろより日本でも語られるようになったマネジメント手法の一つです。日本で「パーパス」という言葉が最初に用いられたのは2018年に刊行された「パーパス・マネジメント ―― 社員の幸せを大切にする経営」で、その後「パーパス経営」「パーパス・ブランディング」「パーパス・デザイン」といった関連ワードが新たなマネジメント手法として散見されるようになりました。2019年3月号ハーバード・ビジネスレビューで特集が組まれるなどを経て、よりワードの浸透が進んだように思われます。(参考図書は下部に一覧化しております)


国内の文献ではパーパス=「存在意義」として訳され、企業のVISIONやMISSIONよりも上位の概念として説明されることが多く、パーパス策定にあたり既存のVISIONやMISSIONを見直しコーポレートブランディングを再構築するケースも少なくありません。


パーパスはそのほかの経営要素の最上位に位置し、企業独自価値や強みを軸に「私たちはなぜ存在しているのか(なぜ存在し事業を行うのか)」に答える形で策定します。(※策定後の運用については別の取り組みが必要です。)


パーパスマネジメントが求められるようになった背景には、大きく3つの要因があります。

  1. 株主史上主義からの脱却、ステークホルダー主義への変化・転換

  2. 企業で働く人々のモチベーションマネジメントの変化

  3. ESG投資の加速

2000年代から噴出する地球環境の問題や、グローバリゼーションに伴い明らかになってきた社会の構造上の課題など、私たちが抱える課題は非常に多くあります。営利企業に求められるものが株主への利益還元から、負の排除やよりよい社会の実現といった公的貢献に変化していったこと(株主至上主義からの脱却)が根底にありながら、それによる働く人々のモチベーションの変化(社会的成熟による欲求の変化)、ESG投資の加速などが背景として挙げられます。


つまり「パーパス経営」とは、企業の存在意義を明確にしパーパスを軸に企業活動を行うことで、社会の要請に応え、より良い社会の実現に寄与することを目的とした経営であるといえます。こうした背景からも、パーパスとサステナビリティは不可分であるといえます。



サステナビリティ経営とは何か?

「サステナビリティ経営」の重要性の高まりには大きく2つの背景があります。 1つめはSDGs、2つめはESGです。


SDGsは2015年に国連で提言された「Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標」(全身は2001年のMDGs)として17のゴール・169のターゲットから構成される、2030年までに解決すべき人類すべての課題を指します。ESGは「Environment(環境)Social(社会)Governance(ガバナンス)」の頭文字をとったアナグラムで、2006年に当時の国連事務総長が提言した「責任投資原則=責任ある投資のための企業判断基準」であり、ESGが投資と共に語られるのはそのためです。


日本国内では2017年ごろから浸透が進み、SDGsは2022年7月時点80%強の認知率、ESGは2022年6月時点の調査でおよそ35%程度の認知率を獲得しています。

SDGs・ESGいずれも企業の社会的責任および成長領域・事業・投資機会が、人間社会や地球環境の希求する原則から逸脱しないこと・また事業活動の推進においてこれらの課題が解決されることを重視したものです。


つまり「サステナビリティ経営」とは、環境・社会・経済問題への配慮やその課題を解決することで、事業の持続可能性を目指す経営を指します。事業継続のためには健全な市場の存続は不可欠であるため、そうした環境を事業活動を通じ保全・強化することを目的としています。一般的に「サステナビリティ経営」は2011年にマイケル・E・ポーター教授がマーク・R・クラマーと連名で記した論文にCSRに代わる経営概念として「CSV=Creating Shared Value/共有価値の創造」を初出させたことに端を発するものと理解されています。



取り組みの重要性と必然性

では「パーパス経営」と「サステナビリティ経営」取り組みの重要性や必然性はどのように考えればいいでしょうか?


まず「パーパス経営」においては、「自社に“パーパスの設定”は必要だろうか?」と問うことから始めて欲しいと考えています。というのも、元来社会に貢献することを目的とした事業を推進している企業においてはVISIONやMISSIONにパーパスの要素が含まれている場合が多分にあるためです。こうした企業の場合は新たに“パーパスを新設する”必要はないと私たちは考えます。


さらに、パーパスは5年〜10年といった長期的な視点を獲得するものであるため、VISIONやMISSIONよりも変更・更新が難しいものです。事業規模によってはパーパスが適用・運用しづらいケースもあることがわかっており、策定〜導入にあたっては業課題の見極めと適切な判断が求められます。また、運用イメージや、具体的メリットが明確でない場合も策定をお勧めしていません。VISIONやMISSION、行動指針といった基本的概念さえも浸透のためには多くの時間を要し、それらが適切に浸透し活用されていない状態でパーパスを策定したとしても、いたずらに理解を複雑化させ浸透をより困難にすることが想定されるためです。


しかしながら、上述したようにパーパスマネジメントが求められるようになった3つの背景を無視することはできません。「パーパス経営」はよく「パーパスを最上位概念として策定し運用すること」と誤解されがちですが、その本質は企業の存在意義を明確にし企業活動を行うことで、社会の要請に応え、より良い社会の実現に寄与することを目的とした経営を行うことにあります。この観点で「パーパス経営」をとらえるならば、可能な限り多くの企業が実施すべきであり、私たちはつねにあらゆるプロジェクトがパーパスやVISIONによってドライブされるものであることを期待しています。


つぎに「サステナブル経営」はどうでしょうか。こちらについて、私たちは重要性・必要性ともに「YES」とお伝えしたいと考えています。たとえはSDGsのゴールは2030年にクリアされることが目標として策定されていますが、特に環境面でのサステナブル対応の緊急性は非常に高いものであることを企業は理解し、今すぐにでもバリュー・ビジネス・サプライすべてのチェーンやサイクルを見直し改善する必要があります。


また、パーパスを策定せずとも「事業を通じて社会の要請に応える・よりよい社会の実現に寄与する」経営を行うには「Environment(環境)Social(社会)」の観点での取り組みは不可欠であり、そのための企業統治とその透明性の確保は必然であると考えることができます。



どのように検討を進めていけるだろうか?

ではどのように検討や思考の整理を進めていくことができるのかを考えてみましょう。私たちがパーパス経営やサステナブル経営に取り組を企業を支援する際に用いるいくつかのフレームワークをご紹介いたします。


1)マテリアリティの特定からパーパスを検討する

先に紹介したパーパス策定のフレームは少々抽象度が高いため、そのまま使おうとすると戦略にそぐわないパーパスが出来上がってしまう場合があります。そのため、既存の戦略にアラインするにはGRIスタンダードなどを活用し、事業活動に基づいた要素のマッピングから始めることをお勧めしています。

GRIスタンダートでは「ステークホルダーの評価や意思決定に対する影響」と「組織の経済、環境、社会に与えるインパクトの著しさ」のレベルで活動ごとにマッピングし、右上領域を「マテリアリティ=重要課題」とします。そこから下記右図にもとづきパーパス検討の流れを進めると、既存事業や戦略に基づいた独自の強みや事業成長につながるパーパスを見出すことができると考えています。

2)パーパスホイールを活用する

パーパスホイールは、IDEOがパーパスをデザインするためのツールとして提供しているものです。 詳細はこちらから。このホイールでは、企業や組織が世界にインパクトを与えうる5つの方法とそこからの目的を示唆しており、策定時に役立つツールです。


Purpose Wheel by IDEO


3)パーパスモデルを活用する

パーパスモデルは、共通目的を可視化するためのツールとして公開されています。詳しくは書籍をお買い求めいただくか、こちらのnoteで詳細をご覧ください。(私たちがパーパスモデルを使ってみた結果、企業よりもNPOやソーシャルセクターのプロジェクトに活用しやすいといった印象がありました。)


4)運用の具体的イメージ・コストを検討する

本記事ではで運用ま触れることができませんが、パーパスは「策定して終わり」ではありません。事業活動とアラインした形で推進していく必要があります。その効果を得るためには、VISIONやMISSIONとともに浸透活動を行い、社員ひとりひとりが自分ごと化できる機会を設け、企業全体の意思統一を図らなければなりません。絵に描いた餅で終わらないよう、策定後はマネジメントが必要です。

※運用フレームワークは別記事でご紹介いたします。


最後に

いかがでしたでしょうか。パーパス経営やサステナブル経営に興味とお持ちの方、取り組みの重要性を感じてはいるもののなかなかプロジェクトを立ち上げられず課題を抱えている...などと言った方のお役に立てますと幸いです。


私たちILY,は「2030年までに、1,000以上のよい社会づくりにコミットする会社や事業を支援・創出すること」を目標とし、さまざまな企業の新規事業開発支援やコーポレートブランディングおよにエンタープライズデザインマネジメントの支援を行っています。


本記事のテーマでお困りごとがございましたら、ブラウザ右下のお問い合わせボタンからお気軽にお問い合わせください。



【参考文献】



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